孤独な練習の時間

和事の世界では6歳6月6日はお子様の稽古はじめの日、令和6年6月6日という日には令和元年生まれのお子様の中にも和楽器を始められた方もいらっしゃるのではないかと思います。残念ながら篠笛は6歳から始めるには時期が早すぎるので、体がしっかりしてくる小学校5年生くらいから始めるのが良いのではと思います。11歳だと平成26年生まれくらいのお子様になるでしょうか、もしそんなお子様がこれから長く笛を続けてくれたら嬉しいです。

私も11歳から始め、学校から帰ると篠笛や能管を吹きたくて、練習するたびに何かが出来るので楽しかったことを思い出します。しかし出来るようになればそれは当たり前、いつしか出来ることばかりになると始めた頃のような嬉しいことはなくなり、プロになるとそういう頃があったことをすっかり忘れてしまいました。

最近、生徒が合わせることばかりに気を取られて伸び伸び吹けていないことが気になり、合わせることを気にせず吹いてほしいと思って三味線の伴奏をやめ、一人で吹いてもらうことにしました。

誰に聞かせるわけでもなければ神経質なほどリズムや音程を合わせる必要はありません。楽器の上達に最も多くの時間を費やす練習は、アマチュアにとってはプロの演奏家のように人に聞かせることを意識する必要はなく、下手でも自己満足で良いもので、合奏の楽しさを追求するよりも大切ではないかと思うようになりました。

子供の頃練習するのが楽しかったのは、プロの笛奏者がまるで草笛でも吹いているかのように気ままで自由に吹いているのがとても楽しそうだったからです。カセットテープから流れる笛の音を何度も聞き練習していた時のように、これからは人に聞いてもらうためだけではなく、自分にとって心地よい笛を吹くことを忘れないようにしたいと思います。

長唄の合奏も楽しいですが、練習が楽しこと、生徒にとってまず楽しく続けられる指導を模索してゆきたいと思います。

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